職種解説の決定版!
医療機器営業職とは何か
医療機器営業職の職務内容
医療機器営業職の遣り甲斐とは
職務内容としては、医療機関で働く医療従事者に対して医療機器を啓蒙することとなります。メーカーの立場で高い専門性をもって自社製品について説明をする必要があります。自社製品に関する知識はもちろんのこと、学会に出席したり、論文を読んだりというような、関連する医療知識を習得することも欠かせません。その意味では、とても大変なお仕事といえます。ただ、自社製品が医療従事者から受け入れられ、患者様の治療・検査などに役立てられた時の喜びは格別といえます。医療従事者から良き相談相手として頼られるのも嬉しいことです。医療機器営業職の醍醐味は、ひと言でいえば、社会貢献度の高さといえるのかもしれません。
医療機器ディーラーの営業職とは
医療機器業界には、医療機器メーカー以外にも医療機器ディーラー(販売代理店)というものもあり、そこには役割分担があります。ディーラーは複数のメーカーから製品を仕入れて、医療機関に製品を納入するのが主な役割となります。納入した製品を病院内で管理するためのサポートをすることも大切なお仕事のひとつとなっています。ただ、ディーラーで働く場合、いろいろなメーカーの製品を扱うことになりますので、取扱製品は多岐にわたり、とても広範な知識が身に付くものの、専門性が身につかないというジレンマもあるようです。
医療機器メーカーの営業職とは
医療機器メーカーの営業職ですと、自社製品に関して高度な専門知識をもって啓蒙活動にあたります。キャリアとしても高い専門性をもったキャリアが構築されるといえるかもしれません。また、医療機器メーカーの営業職は、医療従事者に対して営業活動をするだけではありません。ディーラーに対して営業するというケースも多々あります。ディーラーは日常的に納入・物品管理で病院に出入りしているわけですから、間接的とはなりますが、彼らの口から自社製品の魅力を医療従事者に伝えてもらうことは大きなメリットとなるからです。
医療機器商社の営業職とは
医療機器業界には、医療機器商社というものもあります。これは海外の医療機器メーカーの製品を輸入・販売する事業形態となります。自社製品ではないという意味では医療機器ディーラーに近いかもしれませんが、当該製品を国内で取り扱うのがその医療機器商社のみであるとすれば、医療機器商社での営業活動は、医療機器メーカーの営業職に極めて近くなり、当該製品に関して高度な専門知識をもって啓蒙活動にあたることになります。その意味では、医療機器商社を医療機器メーカーに含めて考えてもよいかもしれません。
外資系医療機器メーカーでの勤務・給与
医療機器メーカーの勤務形態・給与制度はバリエーションに富みます。かなり大雑把な分類とはなりますが、大きく外資系と日系では勤務形態・給与制度に違いがあるようです。医療機器業界は外資系が多い業界ですが、外資系医療機器メーカーの多くは、直行直帰の勤務形態を採用しており、給与も固定給+インセンティブ(目標達成度に応じた成果報酬)という意味合いのものが多いようです。ただ、そのインセンティブも企業によりまちまちで、あくまで個人としての成果のみをインセンティブに反映するハングリーなタイプの制度もあれば、少々緩やかに、会社業績・部門業績なども反映させた折衷型の制度もあるようです。
日系医療機器メーカーでの勤務・給与
日系医療機器メーカーの場合、以前は、事務所に出社してから社有車で営業に出向くというパターンの勤務形態が多かったのですが、最近では徐々に外資系のように、直行直帰の勤務形態を採用する企業が増えてきています。ただ、給与はやはり固定給のみで、賞与で多少のメリハリをつけるというタイプの企業がまだ多く、旧来の伝統的な給与制度を維持しているところも少なくありません。その物足りなさから人によっては外資系へと転進する方もいらっしゃいますが、日系医療機器メーカーは国内で開発・製造しているため、日本の臨床ニーズに機動的に応えやすいという魅力もあり、あくまで日系に留まるという方も少なくありません。
外資系/日系それぞれに魅力があります
医療機器業界ではデバイスラグという言い方で取り上げられることもありますが、外資系医療機器メーカーの製品のほうが最先端で優れていて、日系医療機器メーカーはその後塵を拝し、後れていると言われることがあります。その意味でいえば、外資系医療機器メーカーの営業職として勤務すれば、本邦初上陸の最先端で優れた医療機器を啓蒙するチャンスに恵まれるかもしれず、とても高い社会貢献度があると思います。ただ、海外で開発・製造しているため、日本の臨床ニーズに合わせて機動的に改良することなどは難しい場合が多いかもしれません。あくまで日本の臨床ニーズに機動的に応えたいという方は日系医療機器メーカーがやはりオススメです。
医療機器営業職の求人傾向
コロナ禍以降の新たな採用トレンド
医療機器メーカーが営業職を採用しようとする場合、これまでは、住宅や自動車など異業界での営業経験者を採用して、入社後に医療の専門知識や自社の製品知識を教えて、医療機器営業職として戦力化しようという採用トレンドがありました。コロナ禍を経て、現在は医療従事者の専門性に着目した新たな採用トレンドが話題になっています。医療従事者は有資格者として医療に関する豊富な専門知識と臨床経験を有しています。この専門知識と臨床経験を活かし、ビジネスマンとしての立ち居振る舞いや営業ノウハウなどは入社後に教えて、医療機器営業職として徐々に戦力化しようという考え方です。医療従事者にとっては医療機器メーカーへと転身する大きなチャンスかもしれません。
病棟や外来勤務の看護師も歓迎です
クリニカルスペシャリストの求人が循環器・手術室・急性期領域に偏っている傾向があるのに対して、医療機器営業職の求人はそれ以外の領域にも広がっていて、裾野が広くなっています。例えば、看護師の場合でいえば、クリニカルスペシャリストの求人は、ICUや手術室勤務の看護師を対象としたものに集中する傾向がありますが、医療機器営業職では、病棟や外来勤務の看護師にも対象が開かれたものが多々見受けられます。婦人科向け製品の営業職、感染管理製品の営業職、美容医療レーザーの営業職などがそれです。病棟や外来勤務の看護師の皆様は、クリニカルスペシャリストに固執することなく、これらの医療機器営業職も視野に入れることを是非お薦めしたいと思います。
夜勤を伴う年収と比較してよいのか?
どんな医療機器メーカーも、候補者の現職(前職)年収は考慮してくれるものです。ただ、それにも限度があり、例えば病棟など夜勤を伴う看護師が医療機器営業職に転職した場合、転職時に年収が一時的に下がることも珍しくはありません。といいますのも、医療機器メーカーでは夜勤がありません。日勤のみで完全週休2日制の医療機器メーカーでの勤務と、夜勤を伴う看護師としての勤務とを同列にして、その年収を比較することに、そもそも無理があるからです。医療機器営業職として成果を出せば、少しずつ主任、係長などへと昇進して年収は徐々に上がります。あまりにも大幅な年収ダウンは確かに厳しいかもしれませんが、多少の年収増減にはあまり頓着せず、中長期的な「生涯年収」で考えることを当社はお薦めしています。
医療機器の営業経験者は即戦力で優遇
コロナ禍で、中途採用した人材をどう教育していくかも医療機器メーカーの中で大きな課題となり、改めて即戦力採用が脚光を浴びたことも、紛れもない事実です。日系/外資系を問わず、即戦力人材の活用という採用トレンドが改めて見直され、医療機器営業経験者へのニーズは途絶えていません。即戦力枠としてむしろ優遇されている状況が続いています。ただ、その分、候補者のキャリアにそれ相応の専門性を求めてくるケースも少なくなく、たとえば、カテーテルなどの循環器内科の製品を扱う医療機器メーカーは、やはり循環器内科に精通した医療機器営業経験者を採用しようとする傾向があるのも大きな特色となっています。
医療機器営業職の転職対策
医療従事者は転職対策が不可欠
医療従事者が病院から病院へと転職する場合、面接などはとても簡易なもので、特段の転職対策は必要としません。ところが、病院での医療従事者から医療機器メーカーの営業職に転職する場合は、【業種】も【職種】も異なり、転職対策は不可欠です。「なぜ病院から医療機器メーカーなのか?」「なぜ医療従事者から医療機器営業職なのか?」。これらは面接官から当然質問されますので、それらにきちんと答える準備が必要となります。具体的な面接活動では、個別の応募先企業への志望動機も、当然語らなければなりません。丸腰ではほぼ間違いなく撃沈してしまうのです…。
履歴書・職務経歴書で何を書くか…
医療機器営業職には必ず売上目標(予算、ノルマ)というものが伴います。営業経験がないのであれば、履歴書・職務経歴書では、学生時代にまで遡っても構いませんので、部活動やサークル活動などで貪欲に目標達成に向けて努力してきた姿を披歴してみることを是非お薦めします。もちろん、今の職場(病院)において、業務改善などに尽力した成果などを披歴してみるのもとても良いと思います。また、営業職に近い経験があれば、それを挙げるのも大切なポイントです。学生時代のものであっても、販売や接客のアルバイト経験などはかなり有効です。ちなみに、履歴書・職務経歴書に学生時代のことを書いてはいけないという決まりはありません。その他ご相談は当社ライプニツ・リサーチまでお願いします!
医療機器営業経験者は営業実績が必須
医療機器営業職の経験者は、転職に踏み切る前に、一度ご自身の営業成績を整理してみることをまずはお薦めしたいと思います。転職活動は市場原理で動きます。高い専門性を有していたとしても、営業実績が伴わないとすれば、やはり転職活動を有利に進めることはできません。丸腰で戦っても勝算が低いとすれば、今まで以上に現職での日常業務に励み、高い営業実績という武器を手にしてから転職活動に臨むのが、何よりも大切なことといえます。応募書類に記載できるような、面接でPRできるような、高い営業実績が必要なのです。
30歳代後半以降はマネジメントも必須
年齢制限をしないよう企業側にお願いはするものの、営業スタッフクラスの求人は、事実上は30歳代前半までしか選考対象にしないものが大半を占めています。医療機器営業経験者で30歳代後半以降の方が転職される場合には、少しずつでもマネジメントのキャリアを積むことをお薦めしたいと思います。マネジメントのキャリアを積むことが何らかの事情で難しい場合には、マネジメント研修を受講したり、あるいは、地域活動やボランティア活動で役職に就任するなどしてリーダーシップを発揮したり、または、家庭内で子育てに励んだりなどして、マネジメントに類するご経験を重ねることをお薦めしたいと思います(それらの経験を履歴書や職務経歴書に記載してはいけないという決まりもありません)。
外資系では英語力を磨く努力を忘れずに
40歳代・50歳代で、転職が必要な時がくるかもしれません。いつどうなっても怖くないように、リスクヘッジの意味で、ご自身の市場価値を高めておく努力はとても大切なことといえます。外資系医療機器メーカーや医療機器商社でお勤めをされている方は、少しずつでも英語力の向上に励むことも大切かもしれません。特に、それらの企業で先々、営業部長や事業部長などの高い役職を目指すのであれば、本国(海外親会社)や海外医療機器メーカーとの遣り取りも出てきますので、英語が全くできないとすれば、職務遂行に支障を来たしてしまいます。中長期的な視点でのキャリア開発もとても大切となってまいります。