職種解説の決定版!
医療機器の薬事申請・品質保証・
安全管理とは何か
医療機器の薬事申請・品質保証・
安全管理の職務内容
薬事申請で製造販売承認を取得します
医療機器の薬事職は、医薬品医療機器等法に則った業態管理、個別製品の申請業務、市販後対応などが職務となります。役職から分類しますと、医療機器の製造販売業の場合は、総括製造販売責任者をトップに、国内品質業務運営責任者、安全管理責任者などの設置が義務づけられています。医療機器の製造業及び修理業の場合は、責任技術者の設置が義務づけられています。それぞれが担当業務を遂行することにより、医療機関は安心して医療機器を使用することが可能となります。薬事職の中でも更に細かく分類しますと、特に薬事申請職というポジションがあります。これはPMDA(医薬品医療機器総合機構)という厚生労働省の外郭団体(独立行政法人)などに医療機器の製造販売に関する承認や認証を得るために書類作成及び申請をするお仕事となっています。
製薬会社と異なり治験は外部委託です
治験(臨床開発)というポジションの求人もあります。一部の医療機器では医療機関に依頼したうえで実際に臨床現場で使用してもらったうえでないと製造販売の承認が下りない製品もあり、その場合、治験という手続きが必要となり、その担当となる治験スタッフ募集という形で求人となります。ただ、医療機器メーカーの場合、小規模な会社が多いこともあり、製薬会社のように、モニターとして個別の医療機関を担当することは稀で、治験が必要となる製品を扱う医療機器メーカーの多くは、CRO(Contract Research Organization)という外部受託機関に治験をアウトソーシングしており、それをコントロールするのが職務となります。
医療機器の薬事申請・品質保証・
安全管理の求人傾向
コロナ禍以降も薬事申請職は求人殺到
医療機器の薬事申請・品質保証・安全管理などの求人は相変わらず活況です。特に薬事申請職はコロナ禍以前から「人材の奪い合い」というような様相を呈しており、コロナ禍以降も変わらず、高額の年収条件での求人が殺到しています。これには、いくつかの理由があります。①医療機器の薬事申請経験者の母集団がもともと少ないこと、②医療機器の薬事申請に関して教えてくれる学校がほとんどないこと(実務経験を積むしか道がないこと)、③人材を募集する側もすでに限られた人員で職務を実施しており、教える余裕に乏しいことなどが挙げられます。そのため、医療機器の薬事申請に関して豊富な経験のある方であれば、まさに年齢不問で、「売り手市場」の状況がコロナ禍以降もいまだに続いております。
未経験の医療従事者にもチャンス到来
医療機器の薬事申請職では、経験者限定の求人が圧倒的に多いのは否めない事実ですが、一部には未経験者を育てようとする求人も散見されます。特にコロナ禍以降は、看護師・臨床工学技士・臨床検査技師などの医療従事者歓迎という薬事申請職の募集が徐々に増えてきています。医療従事者は有資格者として医療に関する豊富な専門知識と臨床経験を有しており、それらは薬事申請の職務でも活かせるのではないかと考える医療機器メーカーが少しずつ増えてきています。医療機器業界は外資系が強い業界です。英語力があり、文章作成的なお仕事が好きな医療従事者の方にとっては、医療機器の薬事申請職へと転身するチャンスが徐々に広がってきているといえるかもしれません。
医療機器の薬事申請・品質保証・
安全管理の転職対策
難易度の高いクラスにチャレンジ!
医療機器の薬事申請・品質保証・安全管理というこの領域での転職対策のポイントは、専門領域の深化、より難易度の高い領域へのチャレンジとなります。医療機器はその危険度により、クラス1からクラス4まで分類され、クラス3と4は高度管理医療機器といい、治験(臨床試験)が必要となる製品もあります。例えば、医療機器の薬事申請でクラス1あるいは2のご経験のみの場合は、機会があれば、是非より難易度の高いクラスのお仕事にチャレンジして実務経験を積み重ねますと、転職の際にかなり有利となります。会社の事情でクラス3あるいは4などの難易度の高いクラスを扱うケースがない場合には、職域の拡大を目指すのもよいかもしれません。品質保証、安全管理などの周辺業務にも意欲的にチャレンジし、薬事業務全般に関するエキスパートをめざすというキャリア形成です。
文科系出身の総括製造販売責任者も!
2014年11月の医薬品医療機器等法の施行により、この領域では多くの規制緩和が実施されました。例えば、総括製造販売責任者のポジションはその資格要件が定められていて、以前は「大学等で、物理学、化学、生物学、工学、情報学、金属学、電気学、機械学、薬学、医学または歯学に関する専門の課程を修了」するなどしていませんと、このポジションに就任できないという厳しい要件がありましたが、規制緩和により、当該人材が仮に文科系出身であったとしても、「医薬品または医療機器の品質管理または製造販売後安全管理に関する業務に5年以上従事」し、かつ、当局が指定する講習会を受講するなどすれば、総括製造販売責任者に就任することができるようになりました。文科系出身で医療機器の薬事申請・品質保証・安全管理などに従事していた方などにとって、これはまさに朗報であり、是非、医薬品医療機器等法上の頂点ともいうべき総括製造販売責任者をめざして、日々の職務に邁進しましょう。