医療機器専門の転職エージェント:
ライプニツ・リサーチ
(人材紹介業許可番号:13-ユ-305182)

クリニカルスペシャリストの
面接想定問答Q&A

病院から医療機器メーカーへの転職は面接対策必須!

病院への転職なら面接対策は不要です

 医療従事者の中で、病院から病院への転職をご経験された方ならおわかりと思いますが、病院から病院への転職の場合、面接はとても簡易なもので、特段の面接対策は必要としません。現在の(以前の)病院で何を担当してきたのかを確認され、条件面での擦り合わせがあり、最後に職場見学がある程度で、採否が決定されることがほとんどのようです。

医療機器メーカーへの転職では必須!

 ところが、病院から医療機器メーカーへの転職となると、事情は大きく異なってまいります。まず【業種】が異なります。一方は医療法人という「非営利団体」であり、他方は株式会社などの「営利企業」です。非営利と営利、正反対です。【職種】も異なります。一方は医療行為を行う医療従事者であり、「聖職者」にも類する存在です。他方は企業の営業活動を支援するクリニカルスペシャリストであり、「ビジネスマン」のカテゴリーに属します。聖職者とビジネスマン、正反対ではないかもしれませんが、ベクトル(志向性)はかなり異なります…。

厳しい目線で候補者と対峙する面接官

 このように【業種】も【職種】も異なると、実は採用する側もどの候補者を採用すべきか、判断はかなり難しく、候補者を採用した後に「この方を採用しなければよかった…。失敗した!」という採用ミスも少なくありません。クリニカルスペシャリストを採用したことのある医療機器メーカーであれば、少なくとも一度はこの失敗を経験しているはずです。そして、このような失敗を糧にして、面接手法について深く掘り下げていくうちに、医療機器メーカーの面接官は、以下のような目線でクリニカルスペシャリストの面接を行うようになっていきます。

  • なぜ病院勤務ではなく、医療機器メーカーでの勤務を希望するのか?
  • クリニカルスペシャリストの職務をどこまで理解しているのか?
  • クリニカルスペシャリストの職務にどんな遣り甲斐を見出しているのか?
  • 医療機器メーカーへと転身する覚悟はどの程度できているのか?

ミスマッチ回避は面接官の必達目標!

 このような目線の面接官に対して、あなたはひるまずに胸を張ってご対応できますか? また、面接官の中にはこのような目線に立ったうえで、さらに候補者の本音に肉薄しようと、答えに窮するような、ひねった厳しい質問をしてくる面接官もいらっしゃるようです。というのも、例えばある候補者がいて、その方がクリニカルスペシャリストの職務に遣り甲斐を見出せていないとすれば、もしその候補者を採用して、教育研修に半年以上費やしたとしても、すべてが無駄になってしまうかもしれず、面接官も必死なのです!

ご相談はライプニツ・リサーチまで!

 当社ライプニツ・リサーチが以下で、クリニカルスペシャリストの面接対策の極意を、面接想定問答のQ&A方式でご案内します。以下のQ&Aをヒントにして、是非自分らしい答えを探してみてください! 自分らしい答えが見つかったら、当社にて面接リハーサルを実施させて頂きます。クリニカルスペシャリストの面接が苦手でなかなか内定を得られなかったという方でも、見事内定を得られたという事例が当社では続出しています。ご相談はライプニツ・リサーチまでどうぞご遠慮なくお願いいたします。

面接想定問答Q&Aで「自分らしさ」を探す!

まず1分程度で、自己紹介をお願いします。

「私は●●病院で●●に従事し、転職動機は、志望動機は、長所は…」

 面接冒頭で求められる自己紹介は、面接官に与える印象を大きく左右します。あなたがどのような雰囲気でお話をされるのか、どのように組み立ててお話をされるのかを確認する意味合いが強く、面接の準備をしてきました、と言わんばかりの、一本調子で杓子定規な自己紹介はあまり好ましくありません。そもそも、あなたの職歴詳細や転職動機や志望動機などを、すべて一度で語る必要もありません。
 また、一本調子な自己紹介をしてしまう方のほとんどは、緊張して、いつもの話し方ができなくなってしまう傾向もあるようです。面接で緊張してしまったら、冒頭で素直に「今日はとても緊張しています!」と面接官に笑顔で伝えてみましょう。場も和んでリラックスでき、飾らない自分の言葉で、のびのびと自己紹介しやすくなるはずです。そもそも医療機器メーカーからすれば、医療従事者の皆様はお客様でもあり、圧迫するような面接はむしろ稀です。どうぞご安心を!

「本日はお時間を頂き、誠に…。私は現在…で、実は…。どうぞよろしく…」

 冒頭の「面接の御礼」から始まり、短くご自身の経歴を述べて、最後に「本日はどうぞよろしくお願いいたします」と締め括っており、起承転結のようなメリハリのある自己紹介になっていて、とても良いと思います。なお、高等テクニックとして皆様にオススメしたいのは、ご自身の経歴紹介の中で、「実は【キーワード】でして…」と、面接官が食い付きそうな【キーワード】を1~2個、埋め込んでみることです。面接官の心の扉を開くことができる【キーワード】とは何か、考えてみる価値はあるかもしれません。それにより、一気に会話が弾むかもしれませんよ!

あなたの転職動機はなんですか?

「夜勤で体力的に厳しく、経験を活かせる病院以外の仕事を希望して…」

 これは微妙な回答です。転職を考えるきっかけとなった原点としては、自然な転職動機かもしれませんが、これだけでは採用に至らないかもしれません。特に、「自身の経験を活かせる病院以外の仕事を希望」という部分が問題であり、ご自身が「今後どのようになりたいのか」という主体性が欠如しており、病院以外なら何でもよいのかという印象を与えてしまうかもしれません。病院以外の仕事の中でも、なぜ医療機器メーカーなのか、なぜクリニカルスペシャリストなのか、とさらに突っ込まれた場合のご回答を当然、準備しておく必要があります。

「現職は医師の指示待ちで、もっと主体的に働きたくて…」

 これはとても良い回答です。もっと良い院内説明会の進め方はないか、もっと良い製品デモンストレーションの方法はないかなど、医療機器メーカーのクリニカルスペシャリストには、まさに主体的な働き方が求められます。もしあなたが、現在勤務する病院で院内勉強会の講師役を担い、主体的に後輩の指導した時に、楽しかったというご経験があったとすれば、面接の中では是非、その時の自分を前面に出して、「これがなりたい自分です」と、明るく面接官に伝えてみてください。クリニカルスペシャリストが天職であると訴えているに等しく、好印象を与えるはずです!
 また、クリニカルスペシャリストの職務の中には、医療従事者からのお問い合わせ対応なども含まれますが、それもただ受動的/機械的に行うのではなく、プラスアルファのご提案も加えれば、顧客満足度はさらに高まるかもしれません。ここでもやはり主体性はとても大切な要素となっています。もしあなたが、臨床でのルーチンワークに流されず、業務改革を提案・推進してきたご経験や、委員会や勉強会などで積極的に提言してきたご経験をお持ちであれば、是非それらも面接の中で伝えてみましょう。「こんな主体的な働き方をしたいし、それが評価される環境で働いてみたいんです」と付け加えれば、もう鬼に金棒です!
 なお、勤務先の病院が古い体質で、複雑な業務は管理職のみが携わり、現場スタッフは単調なルーチンワークしか任せてもらえないというような医療現場も一部にはあるようです。そのような職場でスタッフとして勤務されてきた方の場合は、思い切って学生時代まで遡り、開き直って、昼夜を問わず打ち込んだ卒業研究や、常連客増に貢献した飲食店での接客アルバイト、全国大会まで勝ち進んだ部活動など、ご自身が主体的に活動できた頃のことを挙げてみるのもよいと思います。主体的な価値観、主体的な職業観の持ち主であることを示すことに大きな意味があり、面接官もあなたのお話にじっと耳を傾けてくれるはずです。

「現職はルーチンワークで年収も微増。成果が給与に反映される環境を求めて…」

 これもとても良い回答です。医療機器メーカーにてクリニカルスペシャリストとして意欲的に職務に取り組んで、医療機器の売上増や利益拡大に貢献できれば、まず短期的には年1~2回の賞与や外資系であればインセンティブに反映されます。また、中長期的には昇進・昇格にも反映されて、基本給や役職手当が徐々に増額され、例えば日系の中堅医療機器メーカーであれば、ざっくりと係長で600万円、課長で700万円、部長で800万円、役員で1000万円…というような水準で、年収アップする道が開かれています。目先の年収多寡に囚われず、生涯年収という中長期的な目線で面接に臨めれば、内定はかなり近いかもしれません!

クリニカルスペシャリストへの志望動機はなんですか?

「臨床経験も活かせて、関心のある循環器領域について深く学べると思い…」

 これは微妙な回答です。一見、「循環器領域の専門性をさらに高めたい」という前向きな志望動機のようにも思えますが、シビアな見方をすれば、医療機器メーカーは「学ぶ場」ではありません。学ぶことが目的ではなく、学んだことを活かして、より高い専門性をもって医療機器の啓蒙活動を行い、自社の売上増や利益拡大に貢献することが最終的なミッションとなります。「学んだうえで、こうありたい」という部分も述べていきませんと、医療機器メーカーで働く意味を何か勘違いしているのではないか、という不安感を面接官に与えてしまうかもしれません…。

「私は元来、負けず嫌いな性格で、むしろ医師に教える立場になりたくて…」

 これはとても良い回答です。「医師からの指示がないと何もできないなんて! 病院では医師のほうが上だから仕方ないとわかってはいても…」「でも、医師に負けたくない!」という負けず嫌いなご性格の方の場合、臨床現場ですと、その思いはいつまでも叶わないかもしれませんが、クリニカルスペシャリストであれば大いに叶います。担当する医療機器に関しては医師よりもあなたのほうが上(エキスパート)だからです。なお、この志望動機には、病院ではなく、医療機器メーカーをめざす理由も明らかにされていて、面接官は大きく首肯するはずです。
 また、医療機器の誤った使用をしている医師に対しては、それを諫めていくこともクリニカルスペシャリストの大切な役割です。ただ、お客様となる医師を怒らせてしまうような諫め方はやはり避けなければなりません。このような時に、あなたがこれまで臨床現場で培ってきた、気難しい医師とも良好な関係を維持できるコミュニケーションスキルは大いに役立ちます。負けず嫌いながらも、やんわり優しく諫めるエキスパート…。そのバランス感覚も絶妙でいいですね! 面接では、そのバランス感覚を満面の笑み(非言語)で伝えられれば、面接官は大きく安堵しそうです。

「新しい医療機器による最先端治療を多くの医療従事者に広めたくて…」

 これはとても良い回答です。新しい医療機器が画期的なものであり、診断や治療に革新をもたらすものであるとすれば、その医療機器を使うメリットをひとりでも多くの医療従事者に知ってもらいたいと思うのは、とても自然なことであり、志望動機として十分理解できるものです。臨床現場で患者様のQOL向上に励む医療従事者が「聖職者」だとすれば、診断や治療に革新をもたらす新しい医療機器を啓蒙するクリニカルスペシャリストはいわば「伝道師」といえるかもしれません。今後は新しい医療機器を広める立場から社会貢献したい…。素晴らしい志望動機です!

「私は探求心が強く、医療機器のどんな疑問にも答えられるようになりたくて…」

 これも良い回答です。医療機器メーカー主催の勉強会に参加した際に、医療機器メーカーのクリニカルスペシャリストの専門性の高さに驚いて、自分もあのようになりたいと考えて、クリニカルスペシャリストへと転身された方は少なくありません。「なりたい自分」が明確であり、面接官に前向きで、向上心に溢れた印象を与えるはずです。面接官に対して、クリニカルスペシャリストの職務を誤解していないようだ、という安心感も与えるかもしれません。
 また、探求心が強く、疑問を疑問のままに留めておけない、どこまでも誠実なあなたは、忙しい臨床現場では煙たがられる存在かもしれませんが、クリニカルスペシャリストへと転身すれば、大成功するかもしれません。お客様となる医療従事者からの疑問に、トコトン向き合ってみましょう。「今後は医療機器メーカーの立場で、お客様となる医療従事者からの疑問に正面から向き合って、医療従事者が納得するまで徹底的にサポートしてみたいです!」と結べば、内定はかなり近いです。

医療機器営業職への志望動機はなんですか?(該当者のみ)

「自身の成果がダイレクトに給与に反映される環境を求めて…」

 これは良い回答です。医療機器営業職もクリニカルスペシャリストも、自身が担当する医療機器を医療従事者に対して啓蒙していくという役割は同じです。医療従事者が医療機器営業職を志望して、ご自身の医療従事者としての専門性を、自分自身の個々具体的な営業活動に活かして、その成果をダイレクトにご自身の給与として享受しようとすることは、それはそれでとても合理的な職業選択といえます。志望動機としても、合理性に溢れています。
 ちなみに、医療機器営業職には、医療専門知識と営業ノウハウが必要です。例えば、自動車の営業経験者には営業ノウハウはありますが、医療専門知識がないので、もし自動車の営業経験者が医療機器メーカーに転職した場合は、当初はまず医療専門知識を学ぶことが必要になります。医療従事者の場合はその逆で、医療専門知識はありますが、営業ノウハウがありません。医療機器メーカーに転職後は、営業ノウハウを学べばよいだけです。名刺交換のマナーや、挨拶の仕方などはすぐ覚えられます。どうぞご安心のうえ、医療機器営業職にチャレンジして頂ければと思います。
 あるいは見方によっては、むしろ医療従事者のほうが異業界の営業経験者よりも、医療機器営業職への転身では有利かもしれません。医療従事者は、病院内の組織構成や力関係(パワーバランス)を知悉していますので、どのタイミングで誰を訪問すればよいのか、勘が働きやすいかもしれません(まずは医師、次は看護師長で、最後に事務長と用度課…などなど)。さらに、医療従事者としての臨床経験があれば、医療機器がどのような場面でどう使われるかも知悉しており、顧客のニーズを吸い上げやすい部分もやはり大きな武器となるはずです。

当社への志望動機はなんですか?

「御社はグローバル企業で、多くの高品質な製品を提供しており…」

 これは微妙な回答です。これらの情報は当該企業のホームページなどに書かれていた情報かもしれませんが、これらを志望動機として語っても、「薄っぺらい」という印象を与えてしまいかねず、採用に至らないかもしれません。「本音で語っていない」という有害な印象すら面接官に与えてしまうかもしれません。もっともっと当該企業と向き合ってみましょう。また、もっともっと自分自身とも向き合う必要がありそうです。
 ほんの一例ですが、例えば「従業員数」に着目してみてもよいかもしれません。従業員30名の中小の医療機器メーカーにクリニカルスペシャリストとして転職する場合、大手に転職する場合と比べて、職務の幅はかなり異なるはずです。「あれも、これも」と幅広くお仕事を任されて、一部、マーケティング的な職務も入ってくるかもしれません。もし「職務の幅広さに魅力を感じて…」などといえれば、職務に前向きに取り組んでくれそうな好印象を面接官に与えるはずです。

「御社は私が一番関心のある循環器領域の製品を取り扱っておられ…」

 これは良い回答です。ご自身が関心のある領域で意欲的に職務に取り組みたいという主体性が感じられます。面接の中ではさらに深堀して、「なぜ循環器領域に関心があるのか」「循環器領域の知識向上に向けて、普段どのような努力をしているのか」「循環器領域の中でも特にどのような臨床経験が当該企業でのクリニカルスペシャリスト業務で活かされるのか」などを丁寧にご説明できれば、採用に至る可能性はかなり高まるかもしれません。
 あなたは臨床で経験を積み重ねたプロであり、面接官は医療機器メーカーサイドの同じくプロです。立ち位置の異なるプロとプロが正面から向き合って、ひとつの共通領域について矜持をもって存分に言葉のキャッチボールを楽しんでみましょう。当該企業がクリニカルスペシャリストに求めているものをより深く理解できるかもしれませんし、クリニカルスペシャリストへの転職に関して、これまで考えもしなかった新たな発見があるかもしれません。

「実は私は御社製品の大ファンで、御社製品をもっと世の中に広めたくて…」

 これはとても良い回答です。ストレートな志望動機であり、何よりも自然な印象があります。採用側の面接官も、自社製品の話題ですので、とても質問しやすく、お話は自然と弾んでいくはずです。会話の流れの中で「もし私をクリニカルスペシャリストとしてご採用頂けたら、こういう点もさらにお客様に訴求していきたい」など、ユーザーとしてのご自身の意見を付け加えることができれば、採用の可能性はますます高まります。「年収が高いから」「条件がよいから」という目先の部分で転職先を選んでいるのではないという部分も好印象です。内定はかなり近いです!

病院の医療従事者とクリニカルスペシャリストの違いはなんですか?

「医療機器に対する専門性の高さが違うと思います」

 これは微妙な回答です。確かに医療機器に対する専門性の高さは違うのですが、面接官の質問の主旨が理解されておらず、履き違えた回答になってしまっているようです。面接官は「クリニカルスペシャリストの職務をきちんと理解していますか? これまでの医療従事者としての職務とは大きく異なりますよ…」と聞いていると考えて間違いありません。
 このコラムの冒頭で述べた【業種】の違いから回答したほうが、的を射た回答になるかもしれません。病院は医療法人という「非営利団体」で、医療機器メーカーは株式会社などの「営利企業」。それぞれ異なる業種の中で、【職種】も異なり、それぞれの職種がどのような役割を担っているのかを、冷徹かつ俯瞰的に語ることが求められる内容の質問といえます。さあ、どう答えますか?

クリニカルスペシャリストになるために何か軌道修正すべきことはありますか?

「ビジネスマナーや言葉遣いを身に着けたいです」

 これも微妙な回答です。確かに、医療機器メーカーへ転職するにあたっては必要なことであり、間違いではないのですが、シビアな言い方をすると、それらは当たり前のことであり、医療機器メーカーへ入社するうえでの前提条件という認識をもつ採用担当者は多いかもしれません。質問の主旨は実はもっと深く、残念ながら、その深さを自覚した回答とはなっていません。
 面接官は実は「主体的な自分を開花させようと、医療機器メーカーを志しているとはいえ、やはり病院での日常業務のほとんどは医師の指示待ちで、ルーチンワークに埋没しかねない受動的な部分はありませんか? もしそんな受動的な自分がどこかにいるとすれば、それは意識的に軌道修正していく必要はありませんか? その覚悟はできてますか?」などを聞いています。【業種】と【職種】の違いを改めて心に刻んだうえで、あなたなりの凛とした覚悟を語ってみましょう!

他社製品のほうが優れていた場合、あなたならどうしますか?

「製品スペックよりも購入後のアフターサポート体制を訴求します」

 これはとても良い回答です。とても意地悪な質問であり、ほとんどの医療従事者はまず答えられないかもしれません。自社製品よりも他社製品を薦めるというのは、やはり企業人としては相応しくないはずですし…。やはりここでも面接官は【業種】と【職種】の違いをどこまで深く理解しているかを確認しようとしていると考えてまず間違いありません。
 つまり「クリニカルスペシャリストは営業職の営業活動をサポートする立場であり、どんな厳しい状況であっても、なんとか自社製品を売らなければならない、ということをきちんと理解していますか? あなたにそんな覚悟はありますか?」と問う、切れのあるとても良い質問なのです。意地悪で困らせることが目的の質問ではありません。
 アフターサポート体制を訴求するのも一案ですが、「今回の受注は他社に譲る代わりに、引き続き当該医療機関には正確な医療情報を提供し続けて、長期的な信頼関係を構築することにより、次回の新製品発売の際にはリベンジを果たします」などというのも、よい答えかもしれません。存分に想像力を働かせて、自分なりの答えを一度考えてみましょう!

「大変申し訳ございません、すぐには思い浮かびません」

 これは悪くはない回答です。面接ではいろいろな質問があります。まさに想定外で、即座には答えにくい質問もあるのも事実です。最も良くないのは、考え込んでしまい、あまりにも長い沈黙の時間を設けてしまうことです。面接官もいろいろな仕事を抱えており、忙しいということを考えれば、無為な時間を費やすよりも、「大変申し訳ございません…」という潔さが、むしろ好印象を与える場合もあります。即座には答えにくい難しい質問であれば、あなたばかりでなく、他のほとんどの候補者も答えられないはず、と腹を括ってみるのも立派な面接対応です。

お給料はいくらもらっていますか? また、その内訳は?

「えっと~、正確な数字はすぐにはちょっと…」

 これは良くない回答です。「おっ、この人材はいいな!」と企業が採用に前向きな場合、企業側は2つのことを考え始めます。ひとつは給与が折り合うかどうか、もうひとつは入社時期が折り合うかどうか…。給与が折り合うかでまず知りたいのは、あなたの現職年収となります。内訳も含めて、即答できるようにしておくことは、とても大切なことです。また、採用しようとしても、入社が半年後であれば、入社意欲に欠けると看做されて、不採用となるケースもあります。待っても内定後1~2カ月後の入社がリミットと心得ておきましょう。

「年収で○○万円、その内訳は…」

 これは良い回答です。転職が初めての方の場合、「年収」よりも「月収」でお考えになる方もいらっしゃるようですが、多くの医療機器メーカーでは「年収」をベースに判断します。内定時には「理論年収」という言い方で条件提示をする企業様も多く見受けられます。理論年収とは、賞与が通常通り満額支給された場合の年収を指します。初年度は査定期間が不足するなどの関係で、賞与が満額支給されない場合もありますので、満額支給されたと仮定したうえで年収を算出する方法です。なお、年収は「昨年度年収」や離職者の場合には「前職年収」をいうとよいと思います。


お給料はいくら欲しいですか?

「現在ICU看護師で年収600万円です。出来れば650万円以上を希望」

 これはよくありがちですが、微妙な回答です。ICUなどで夜勤や残業対応が多い看護師などの場合、20歳代であっても600万円近い高年収を得ている方も、実は少なくありません。ただ、肉体と精神を最大限に酷使して得たその年収をベースにして、日勤のみの医療機器メーカー勤務での希望年収を述べるのは、少し無理があるかもしれません。20歳代で600万円以上の年収を提示できる医療機器メーカーは、外資の中でもごく一部であり、転職先の選択肢もかなり狭まってしまいます。
 誰でもお給料は沢山欲しいもの。「年収を上げたいのであれば、今の病院でもっと夜勤や残業で稼いで、年収を上げてはいかがでしょうか?」という厳しい切り返しをする面接官もいらっしゃいます。また、企業に無理なお願いをして、高い年収で内定を得られたとしても、入社後に高いハードルを課せられ、短期離職に追い込まれるとすれば、いかがでしょうか? 年収アップは入社後に自身の実力で勝ち取るのがやはり基本といえます。

「御社の規定に従います」

 これはとても良い回答です。企業には人事制度、賃金テーブルなどがあり、その枠組みの中でしか賃金は決められません。3億円を希望することもできますが、それが不可能なのは、高いからというよりも、人事制度を踏み外しているからです。逆に年収150万円でいい、といっても、それも出来ないのは同じく人事制度を踏み外しているからです。
 クリニカルスペシャリストへの転職が【業種】も【職種】も異なる未経験分野に飛び込んでいく転職であることを考えると、やはり「御社の規程に従います」というのが最も無難な回答です。そのうえで、「入社後早めに成果を出して、沢山お給料をもらえるように頑張ります!」などと添えるのがベストです。そんなやる気・意気込みのある人材には、人事制度、賃金テーブルの中で最大限のオファーをしてくれる、それも企業というものです。
 また、生涯年収という考え方も大切です。転職時の数十万円の年収増減に頓着してしまうと、大切なものを見逃して、ご判断を誤ってしまうかもしれません。お金は後から付いてきます。オファーの年収が500万円なのか、550万円なのか、は目先の問題に過ぎないと言っては言い過ぎでしょうか? 当社は中長期的な意味での転職成功を皆様と共に模索したいと考えています。

当社はあなたを採用すべきでしょうか? その理由は?

「貴社の判断にお任せします」

 これは良くない回答です。面接とは自分自身という労働力商品を売り込む活動です。合否は当然企業側が決めるものではありますが、「採用すべきです」とあなた自身が明言できない限り、採用側の医療機器メーカーとしても触手が伸びないのではないでしょうか?「貴社の判断にお任せします」という回答からは、「主体性の欠如」「待ちの意識」などが面接官の脳裏に浮かんでしまうかもしれません。また、企業側からあなたの適性を発掘しようとするタイプの面接は稀有です。

「当然採用すべきです。なぜならば…」

 これはとても良い回答です。「なぜならば」以下で、ご自身のこれまでの臨床経験のどの部分がクリニカルスペシャリストの職務でどう活かせるのか、を切々とPRしたら良いと思います。クリニカルスペシャリストの職務に対する適性があることを自己認識している自己肯定の姿勢、また、それを説明しようとする前向きでアグレッシブな姿勢は、面接官にとても良い印象を与えるはずです。変な謙遜、奥ゆかしさは、面接では機会損失でしかないかもしれません。

英語はどの程度できますか?

「英語は苦手です」

 これは良くない回答です。誰にでも苦手なことはあります。英語が苦手でも構いません。ただ、面接で苦手なことを、そのまま苦手と言ってしまうのは、少々問題があります。「苦手なことをそのまま苦手と言ってしまう」イコール「成長意欲がない」というレッテルを貼られてしまうかもしれません。医療機器メーカーで働く場合、英語力を求める案件は少なからずありますので、苦手を苦手と開き直ってしまうのは、やはり機会損失となる恐れがあるかもしれません。

「英語は得意ではありませんが、現在英会話学校で…」

 これはとても良い回答です。苦手なことを得意と言ってしまうのは問題があるかもしれませんが、「得意ではありませんが、現在英会話学校に週1~2回通っていて、スキルアップに努めています」というのは、とても良い回答です。求人票には必ず応募資格という欄がありますが、それら応募資格をすべて満たした完璧な状態での転職活動ができる方は稀です。応募資格を満たしていない部分があるとすれば、その部分はやる気で補うしかありません。また、企業はそのようなチャレンジングな方を求めています!

あなたの長所と短所を教えてください。

「短所は気が短いところです」

 これは良くない回答です。短所を述べる場合には、見方を変えれば長所にもなり得る短所を述べるよう心掛けましょう。「気が短い」は見方を変えても長所にはなりにくいのではないでしょうか? 面接とはあくまでも自己PRの場であり、ご自身の人材としての価値を売り込む場です。「この商品にはどこから見ても悪いところがあるのです…」という営業活動は世の中にあり得ないのではないでしょうか? クリニカルスペシャリストとしての適性に疑問を抱かれてしまうかもしれません。

「短所は心配性なところです」

 これは良い回答です。心配性なあまり、事前にいろいろ考えてしまう慎重派のあなた。これは長所にもなり得る短所であり、とても良い回答です。面接の中では、その慎重なところをPRしつつ、あまり神経質にならないよう、楽天的に考えるべきところはできるだけ楽天的に考えるよう自分をコントロールしている、などと付け加えますと尚可となります。また、長所は「周りからは……とよくいわれます」と同僚や先輩からの評価を述べると、聞き手は呑み込みやすいかもしれません。

最後に、何かご質問はありますか?

「残業時間は? 休日出勤は?」

 これはとても微妙なご質問です。これらは長く働くうえではとても大切なことではありますが、ご質問をされる際のニュアンスが「残業したくない」「休日は休みたい」という思いに溢れてしまっているとすれば、「勤労意欲の欠如」と捉えられる恐れがあるかもしれません。特に、まだ入り口である第一次面接では、そのように受け取られてしまうリスクが大です。ご質問の内容によっては、聞くタイミングと聞き方に細心の注意を払う必要があります。

「職務内容の詳細を知りたいのですが…」

 これも微妙なご質問です。確かに、職務内容を知ることはとても大切ですが、このご質問は少々誤解を招きやすいかもしれません。「職務内容も理解せずに、応募してきたのか?」と怪訝に思う面接官も少なくないからです。職務内容についてご質問をされる場合には、求人票の熟読などを通して「職務の概略は理解している」という大前提のうえで、もう一歩踏み込んだ、より鋭く具体的な内容のご質問をお願いします。それにより、当該職務に求められる役割などについてより理解が深まるかもしれませんし、職務への関心の高さを面接官にPRする効果もあります。

「ありません」

 これも微妙です。面接とは企業があなたを選ぶ場であると同時に、あなたが企業を選ぶ場でもあります。確認したいことがあれば、臆せず質問することもやはり大切です。「入社前に確認しておけばよかった…」とあとで後悔しないよう、是非、ご質問をお願いします。ただ、あまりにも細々したことを、あれもこれもと質問するのは、まだ選考過程にある段階ではやはりマイナスかもしれません。ご質問は多くても3つ程度、必要不可欠なものに絞り込みましょう。
 また、企業研究を重ねた結果、特にご質問がないのであれば、それはそれで構いませんが、面接は自己PRの場ということを考えれば、「ありません」というのはやはり少々もったいない気もします。折角ですので、自己PRにもなるようなご質問を最低ひとつは是非ご準備ください。どうしてもご質問が見当たらないようであれば、「質問はありませんが、私は御社が第一志望です。是非前向きにご検討をお願いします!」などと締め括ってみてもよいかもしれません。内定も近づきます!

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